小学校三年の頃、誰かが墓石を金槌で叩くような「カーン」「カーン」という音で、私は深夜に目が覚めた。
誰が何の目的で、こんな時間に墓石を叩いているのか不思議だった。
最初は、石屋が墓の修理でもしているのかと思った。
しかし、それならば日中にすればいい事だ。日中に出来ない理由があるとして、夜中にこっそりやっているとしても、これだけ音が響けば、すぐにばれてしまう。
それにしても、家族の誰も騒がないところをみると、この音は私にしか聞こえていないのかもしれない。何故私にしか聞こえないのだろう。
私は恐怖を感じながらも、その正体を知りたくて仕方がない。