私が教室へ入ると、いつものように律がかけてくる。


学科によってはクラス変えがあるけれど、私たちの《芸術科》はそのまま持ち上がりだ。


「律、おはよう」


そう言い、いつもの席につく。


私は、何故だか去年と同じ窓際の席。


何度か席替えをして変わったりもしたけど、最終的にここに落ち着く、という感じだ。


「ねぇねぇ、碧きいてよぉ」


カバンを下ろすやいなや、律はプゥっとふくれっ面をして愚痴をこぼし始めた。