その様子を見て私は大きくため息を吐きだした。


今日もあの輪の中に入りそびれてしまった。


矢沢君と少しでも仲良くなろうともくろんでいる女子たちは沢山いて、いちはやく登校してきた子たちがその座を勝ち取るのだ。


今日は派手系の女子たちが矢沢君との会話を独占していた。


「相変わらず人気者だねぇ」


亜由は興味なさそうにアクビをかみ殺して言う。


「あれだけイケメンだもん……」


私はあきらめて席につき、教科書やノートを机にしまいながら答えた。


「あの人と話をしたければ、今よりも1時間早く登校することだね」


亜由はニヤニヤと笑いながら言う。


私が朝が弱いことを知っていてそんな風に言うのだ。


1時間も前に到着するためには、朝ごはんを抜かなければならなくなる。