「昨日も他校の子が僕のことを待ち伏せしていて、困ったんだぜ」


「そ、そう……」


(もう誰もその話信じてないから。っていうか語尾の『だぜ』ってどうにかなんないの?)


内心うんざりしながら内田君を見つめる。


「そろそろ僕とデートしないと、他の誰かに取られちゃうかもしれないぜ?」


ふふんっと自信満々に鼻を鳴らす。


その鼻息が私の前髪にかかり、吐き気がした。


「え、2人ってそういう関係なのか?」


ふいに矢沢君がそんなことを聞いてきたので「違うよ!!」と、思いっきり否定した。


(しまった。教室内でこんなこというのはかわいそうだったかな?)


そう思って内田君を見たが、彼はまだ自信満々の笑みを崩していなかった。


「ふふんっ! 実はそうなんだよ。でも杏美が照れちゃってさ。困ったもんだぜ」


(だ、誰が照れてるだって!?)


そう言いたかったが、あまりのプラス思考に私は口をパクパクさせるだけだった。