「おはよう、杏美」


と、内田君が声をかけてきた。


相変わらず前髪をサラリとかき上げている。


「おはよう……」


せかくの幸せ気分を打ち砕かれて、気分が萎えそうになる、


けれど今は矢沢君が近くにいる。


できるだけ嫌そうな顔をせずにやり過ごさないといけない。


ヒクヒクとひきつった笑みを内田君へ向ける。