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翌日も私の心は浮足立っていた。


あの後私は矢沢君と番号交換をして帰ったのだ。


「ちょっと杏美、幸せそうな顔しちゃってどうしたのよ?」


地に足がついていない私を見て亜由がニヤニヤしながら声をかけてきた。


「えへへ、ちょっとね」


そう言って頭をかく。


秘密にしているつもりはないけれど、この嬉しさはもう少し自分1人で味わっていたかった。


「おはよう久保さん」


そう声をかけられて顔を向けると矢沢君が立っている。


「お、おはよう」


一瞬にして体温は急上昇し、声が裏返る。


「昨日はありがとう、楽しかったよ」


「そ、そんな! 私の方こそありがとう」


慌てて頭を下げる。