「別に俺は気にしないなぁ」


「そ、そうなんだ……」


矢沢君の言葉にガッカリしている自分がいた。


やっぱり矢沢君はこういうの気にしないタイプなんだ。


きっと、誰が相手でもできてしまうんだ。


そう思うと、一瞬でも舞い上がった自分が恥ずかしく思えた。


うつむきそうになったその時……。


「だって、久保さん可愛いもん」


(え――? 今、なんて?)


時間が停止したような気がした。


(今矢沢君、私のこと可愛いって言った!?)


「また来ようね、2人で」


矢沢君はそう言って、タルトの最後の一口を食べたのだった。