ひょいっと私のケーキを取って口に入れる。


「おぉ、うまい!」


口をモグモグさせるその姿に、また心臓がどきどきしてきてしまった。


(矢沢君って、こういうの気にしないタイプなのかな……)


私は矢沢君が食べたケーキの端っこをジッとみつめる。


「俺のも食べる?」


「えっ」


そう言って差し出されたフルーツタルトに、一瞬目の前がクラクラした。