「ふぅ間に合った! ありがとう久保さん。後でなにかお礼させて」


5時間目の授業が始まる10分前。


矢沢君はすべての問題を写し終えていた。


「お礼なんていいよ」


私は自分の顔が熱くなるのを感じながらプリントを受け取った。


さっきまで矢沢君がこのプリントに触れていたと思うと、それだけで心臓が爆発してしまいそうだった。


「遠慮しないでよ。そうだ! この前駅前に美味しいフイーツ屋ができたらしいから、一緒に行ってみない?」


「え……っ」


(そ、それでデートの誘い!?)


「あ、もしかして甘いもの苦手だった?」


「う、ううん! 甘いもの大好き!」


思わずくい気味に返事をしてしまって、顔がまたカッと熱くなった。


きっと真っ赤になっているだろう。