そんなことを思いながら私は通学路をキョロキョロと見回した。


私と同じ紺色の学生服が同じ方向へ向かって歩いている。


その中でひときわ目立つ横に大きな男子生徒を見つけた。


「あっ」


思わず、小さく声を出していた。


きっとあの人だ。


今しがた生徒手帳を落としたばかりで、この顔に見合う体系といえば、その人しかいなかった。


私は足早に男子生徒に近づき、その肩を叩いた。


「あの……」


「え?」


男子生徒は驚いたように目を丸くして振り向いた。


その顔は間違いなく、生徒手帳に張られている写真のもので間違いなかった。


私はホッとしながら男子生徒に生徒手帳を手渡す。


「あ、これ僕の……」


低く、おじさんのような声で男子生徒……内田君は言った。