ため息と共にお弁当のウインナーを口に入れる。


その時だった。


「やばっ! 次英語だっけ? プリントやるの忘れてきた!」


そんな声が聞こえてきて、あたしは窓辺へと視線を向けた。


焦ってプリントをやり始めたのは矢沢君だったのだ。


「そのプリント結構難しかったぞぉ? お前、残り20分でできるのかよ?」


「じゃあ見せてくれよ!」


「嫌だよ。それで間違ってたら、お前俺のこと恨むだろぉ?」


「くっそー!」


英語の先生は厳しくて、宿題を忘れると後日倍の量を提出しなければならなくなる。


間違えていてもいいからとにかく提出だけはしておかないといけない。


私は思わず自分のプリントを持って立ちあがっていた。


「杏美?」


「ちょっと、行ってくる」