おたふくかぜが直った内田君はそれから順調に登校してくるようになった。


それがキッカケでクラスの雰囲気が大きく変化していた。


今まで春の陽気をそのまま反映させたようなクラスだったのが、一気に冬になり、どこか寒々とした空気が漂うようになっていたのだ。


「でさ! 河川敷にいたヤツらを僕1人でボコボコにしてやったわけよ!」


聞きたくもない内田君の声が教室中にこだまする。


内田君は教卓の前に立ち、1人で大演説を繰り広げていた。


「絡まれてるのは僕の元カノだったから、無視しようかとも思ったんだけどねぇ~? 一旦通り過ぎた後に、やっぱり戻っちゃったわけよ。情っていうのがあったのかなぁ?」


遠い目をして物思いにふける内田君。


サラリと無駄に前髪をかき上げ続けている。


できるだけ目を合わさないようにしていたのに、一瞬だけバチンッと視線がぶつかってしまった。


(ヒッ!!)


心の中で悲鳴を上げすぐに顔をそらす。


しかし、内田君はその一瞬を見逃さなかった。