お堀公園は、中央に中州のある水景公園で、遊歩道と緑地と森とに囲まれている。てぃあらが落ちていったのは浮島のあたりと思われた。すぐに、がさがさっと音をさせ、葉を落としながら空中へと舞いもどったのが見える。
なにか魔法の力で宙に浮いているのだろうが、ともあれ落ちても無事だったことにミクはほっとした。
だが、ポケットのなかのビスケットのように増殖するゴーストに、なおも苦戦しているらしい。
「くっ……」
見あげる玲央は拳を握りしめ、悔しそうにつぶやいた。
「愛する妹の危機に、兄である俺がなにもしてやれないっていうのか……! 俺は……無力だ……!」
「もう一人の妹の危機に、パンツも貸してくれなかった兄のくせに……」数日前の出来事を思いだし、思わず恨み言が出るミクだった。
クロの手のうえから、ポロロがおもむろに告げた。
「わが身の無力を嘆くおまえの声、しかと聞いたぞ――市ヶ谷《いちがや》兄弟の長男。力が欲しいか? 愛する妹を救う力が」
なんだか、急に口調まで変わっている。
「俺に妹を……救えるというのか!?」
「魔女の血を受け継《つ》ぎしおまえなら……できる! 契約により、力を得るのだ!」
「おお、俺にそんな力が」
玲央とポロロは、芝居じみた熱い口調で語りあっている。
「どうする? あの子みたいにはいかないけど、それぞれに残った魔力分に応じて力を付与《ふよ》してあげることはできる。期間は、そのほんのちょびっとの魔力が尽きるまで」
「代償はどうなる? たいていこういう話だと、魔女は力の代償に魂とかを要求すると相場が決まっているが」
玲央はいろいろなことを知っているなぁ、とミクは感心した。サブカルチャー全般に強い兄である。
なにか魔法の力で宙に浮いているのだろうが、ともあれ落ちても無事だったことにミクはほっとした。
だが、ポケットのなかのビスケットのように増殖するゴーストに、なおも苦戦しているらしい。
「くっ……」
見あげる玲央は拳を握りしめ、悔しそうにつぶやいた。
「愛する妹の危機に、兄である俺がなにもしてやれないっていうのか……! 俺は……無力だ……!」
「もう一人の妹の危機に、パンツも貸してくれなかった兄のくせに……」数日前の出来事を思いだし、思わず恨み言が出るミクだった。
クロの手のうえから、ポロロがおもむろに告げた。
「わが身の無力を嘆くおまえの声、しかと聞いたぞ――市ヶ谷《いちがや》兄弟の長男。力が欲しいか? 愛する妹を救う力が」
なんだか、急に口調まで変わっている。
「俺に妹を……救えるというのか!?」
「魔女の血を受け継《つ》ぎしおまえなら……できる! 契約により、力を得るのだ!」
「おお、俺にそんな力が」
玲央とポロロは、芝居じみた熱い口調で語りあっている。
「どうする? あの子みたいにはいかないけど、それぞれに残った魔力分に応じて力を付与《ふよ》してあげることはできる。期間は、そのほんのちょびっとの魔力が尽きるまで」
「代償はどうなる? たいていこういう話だと、魔女は力の代償に魂とかを要求すると相場が決まっているが」
玲央はいろいろなことを知っているなぁ、とミクは感心した。サブカルチャー全般に強い兄である。
