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それは すごくすてきな子ですね
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返事みじかっ! どうした急に
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ななちゃんの好きな人は?
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どんな人で どこを好きになった
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どこが、か。
そういえばどこなんだろう。
昼休みに靴箱で返事を受け取ってから、ひとりぼんやりと廊下を歩いた。このまま教室に戻っても希美たちと楽しく過ごせそうにないので、生徒会室で時間を潰そうと階段をのぼる。四階に着いて廊下に出ると、明るい髪色の男子が目に飛び込んできて、反射的に壁に身を隠した。そして、見つからないようにそっと覗き見る。
やっぱり、二ノ宮先輩だ。
二年の理系コースの教室前で、数人が固まって騒いでいた。その中のひとりは間違いなく二ノ宮先輩だ。カフェオレ色の髪型なので見間違うはずがない。こういうとき、先輩の髪色は役立つ。背中だけで誰だか判別できる。
二年の階でなにをしているのだろう。
あの廊下の先に生徒会室があるのに。今までの私なら気にせず通ることができたけれど、今は顔を合わせたくない。
それに。
先輩の隣には澤本さんがいた。
ほかに、男子が三人と女子がふたり。
「んじゃ今日の放課後は慰め会だな」
先輩の声が私のところにまで届く。
「うるせー! おごれよ! ちゃんと慰めろよ! 笑うなよ!」
「無理無理。フラれた理由が自業自得なんだから慰めようがねえよ」
そんな会話が聞こえてくる。
どうやらあの中の誰かが恋人にフラれてしまったようだ。落ち込んでいる彼を励まそうとしているのだろう。いや、フラれた理由はわからないけれど、自業自得と言われているのでネタにして騒ごうというだけなのかもしれない。
でも、先輩はやっぱり、励まそうとしているのではないかと思った。
どんな理由があろうと、それが自分のせいでも、落ち込む気持ちは変わらない。その証拠に、フラれたらしい男子はしょんぼりと肩を落としている。
先輩は、やさしい。
あの男子が、彼だから先輩は励ますわけではない。誰だろうと、落ち込んでいるから励ます人だ。私にラムネをくれたように。保健室から私を連れ出してくれたように。私に、気持ちを添えることを教えてくれたように。
軽い口調で、なにも考えていないように振る舞うけれど、相手のことをよく見ている人だと、交換日記と実際の先輩と接して、わかった。
先輩は、いつだって、人に囲まれている。