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   緊張するけど 実は俺も楽しみなんだよな
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   それに刺繍もすごいじゃん
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   たしかに面倒なこともあるかもなあ
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   でもそれも醍醐味 みたいな
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   多少は仕方ないっていうか
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 仕方ない、か。

 今朝返したノートは、昼休みに私の手元に戻ってきた。靴箱から戻ってきて教室で希美や優子と残りの昼休みを過ごしながら、スカートの上からノートに手をあてる。私の隣では、希美が優子やほかの友だちに笑顔を見せていた。いつもどおりの光景だ。希美におかしなところはなにもない。

「江里乃も、この海外ドラマ観てる?」

 私に話しかける様子からも、昨日の無理をしていた感じはもうない。

「まだ途中だけど観てるよ」
「途中でやめれるの? あたし徹夜しちゃったんだけど!」

 返事をすると、優子が身を乗り出して叫ぶ。朝から眠そうな顔をしていた理由はドラマのせいだったらしい。

「観るのは一日一話までって決めてるからね」
「うわ、さすが江里乃」
「じゃないと妹たちに『早く寝なさい!』って言えなくなるんだもん」

 中学生になり生意気になってきた妹に、お姉ちゃんは起きてるじゃん、と言われるのが目に見える。人に注意をするときは、自分もしていなければ効力がない。妹と弟に教わったことだ。

「なるほど。だからってあたしはできないんだけどー」