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   この前のノートって紛失した?
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   俺 返事書いたけど届いてない?
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   無視してないから 俺!
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 数日返事に悩んだものの、意を決してノートに返事を書いたのが昨日の真夜中のことだ。そして、週明けの月曜の今日、いざ靴箱に――と思ったら中には一枚の紙が入っていた。

 このノートの相手が二ノ宮先輩だとわかったのは先週のことだ。それから今日まで、私は靴箱には近づかなかった。返事が書けていなかっただけなのだけれど、そのせいで二ノ宮先輩を不安にさせてしまったようだ。いったい、いつからこの手紙が靴箱にいれられていたのだろう。

 悪いことをしてしまった。私だって、毎日何度も靴箱に確認しに来るほど気にしていたというのに、あまりの衝撃にその気持ちを失念していた。

 だって、まさか相手が二ノ宮先輩だとは微塵も想像していなかったんだもの。どんな人かとイメージした中に、先輩はいなかった。

 相手が二ノ宮先輩なのだと思って読み返せば、気さくな口調やぐいぐい来る感じはたしかに先輩だ、とも思うのだけれど。

 歌を贈るというのも、先輩なら納得だ。文化祭でライブをしたくらいだし、私は生徒会の仕事があったので聴いていないけれど、大人気で優子と希美が「かっこよかった!」と言っていたのできっと上手なのだと思う。てっきりコピーバンドだとばかり思っていた。もしかすると、オリジナルソングを歌っていたのだろうか。歌や楽器がうまくても、まさか作曲までできるとは。先輩って実はすごい人なのかもしれない。歌詞は……まあ、歌えば印象が違うということもあるし。

 ノートを見つけた日、放課後にハンカチを探していたのはウソだったのだろうか。すっかり騙されてしまった。先輩がハンカチなんておかしいと思ったのだ。

 はあっとため息をついてから、ノートを見直す。