歩きながら二人の会話を聞いていると、今度は何時会えるとか、お前のことが忘れられないとか、男が言い、彼女は、今は分からないとか、今度又ねとか、言って、男の要望をはぐらかしている様な感じである。

 私は元彼だろうと思いながらも、今、彼女の横に現在の彼である私が並んで歩いているのが、眼中に入らない様な態度の男に、段々と腹が立って来た。男にも腹が立っているが、彼女にも配慮の無さに腹が立った。

 私は彼女の手を引いて、今来た道へ引き返そうとしたが、男は何処までも私の彼女にまとわりついて来る。

 私は彼女の手を引いて走り出した。すると男も走ってついて来て、彼女の傍から離れない。何処までもついて来るので、到頭私は息が切れて、立ち止まった。