食事の際、女は又ビールを飲んだ。

 「最後に聞きにくいことだけれど、教えてほしい。別に嫌なら答えなくても
いいから。キミの全身の傷は、キミ自身で作ったものなのか、それとも他に理
由があってそうなったのか、そこのところを聞いてみたいな」

 「そうね、まず手首は自分でやったわ。それから、気が付いたかもしれない
けれど、帝王切開だったからその傷もあるし、後ところどころ、自分でやった
ものもあるけれど、多くは男につけられた傷ね。首もそうだけれど、私は男と
付き合って、いつも別れ話になると壮絶な喧嘩をして、刃物で切りあってしま
うのよ。だから今まで、三人の男と一緒になって別れたから、三人分の思い出
ってところかしら……なんて言うのは嘘で、本当はセックスする時、血を見な
いと感じないから、傷つけながらしていたらこんなになったのよ、だから……
私って変?」

 私は女が子どもを産んでいることを知ったが、その子が今どこで何をしてい
るのかを、聞く気力さえも失せていた。