私は突然恐ろしくなり、踵を返した。

 すると下って来る白い着物姿の女にも鉢合わせになった。
 私はその場から動けず、痺れた様に立ち竦んでいた。

 女たちは静々と風の様に通り過ぎ、それぞれ挨拶も交わさず進んでいく。
 次々に、女たちが通り過ぎて行き、その流れは、絶えることが無い。
 一定の間隔を保ちながら、白い着物姿の女の行列は進んでいる。

 私は墓の処迄下って来ると、そこで白い着物姿の女たちが、墓の中に消えて行き、やがて又出てくる様子を、背筋が凍る思いで見ていた。

 女たちは山中の寺と、山裾近くにあるこの墓の間を、御百度参りのように、行ったり来たりしている。