私は夜、人一人がやっと歩ける山道を歩いている。
 
 途中、白い着物姿の女が下って来たので、避け様としていると、女は構わず進んで来て、私にぶつかりそうになったが、風の様に通り抜けた。
 
 暫く歩くと、又白い着物姿の女と擦れ違った。
 さっきの女と似ている気がした。
 
 又歩いていると、やっぱり白い着物姿の女と擦れ違った。
 私は女に、上で何かあったのですか、と聞いたが、女は聞こえないように、下って行った。

 不審に思いながら歩いていると、又白い着物姿の女に会ったので、愈々おかしいと思い、女に、上で何かしているのですか、と聞くも、やっぱり女は聞こえないように、下って言った。