騒がしい教室では五月下旬に行われる体育祭についての話し合いが行われていた。

黒板には各種目が書かれている。私は行事ごとに興味がないので、気だるさを隠さずにぼんやりと頬杖をついてるだけ。

……はあ、面倒くさいな。

必ずひとつは種目に参加しなくてはいけなくて、私は頑張らなくてもやり過ごせる綱引きを選んだ。そんな中で、三浦の周りにまた大勢の人が集まり始めていた。

「やっぱりうちのリーダーって言ったら旭しかいないよ」

「だよな。体育祭のメインのリレーは絶対旭が入ってくれないと盛り上がらないし!」

なにやらクラス対抗リレーの選手だけがまだ決まってないらしい。リレーは体育祭の最後に行われる種目だけあって、一番の見せ場でもある。そして選手として走る生徒たちもその舞台に相応しい人が選ばれる。

「いや、だから俺、喘息あるんだって」

「そうは言ってもめちゃくちゃ元気じゃん! ぶっちゃけ本気出したらやれないこともないんじゃない?」

「旭ってなんでもできるし、足も速そうだよな!」

みんな勝手に想像を膨らませては、三浦のことを持ち上げている。