その日の放課後。私はとある人と待ち合わせていた。
指定された場所に行くと、そこには一際目立つ女の子が立っていた。声をかける前に相手が先に私の存在に気づく。
「まさかそっちから連絡してくるなんてね」
それは早坂さんだった。
彼女と連絡先を交換したものの、とくにやり取りがあるわけでもなく、早坂さんからなにか言ってくることもなかった。
けれど逆に私のほうが気になってしまい、積極的にマキちゃんねるをチェックしていたところ、彼女の配信で二次オーディションのために東京に来てることを知ったのだ。
「それでなんの用なわけ?」
早坂さんは相変わらず無愛想な態度だった。
「あの日の返事をしにきたの」
「……?」
「私、十四歳の時旭のことが好きだった。誰よりも大切だったけど、なんにも伝えられなかった」
あの頃の私は時間は無限にあると思っていて、また明日、明日でいいって色んなことを先伸ばしにしてた。だから、彼に会えない明日が来るなんて、想像もしてなかったんだ。