「こんなところでどうしたんだ?」

「え、えっと……」

「クラス会、出席にチェックがしてあったのに来なかっただろ?」

「……はい。途中で行ける状態ではなくなってしまって」

「そうだったのか」

先生の話によると、私と旭以外は全員出席したそうだ。豪華な景品を用意してビンゴ大会なども行ったらしい。

「時間があるなら少し校舎の中を見ていくか?」

「え?」

「卒業してまだ一年半くらいだけど、クラス会に来たやつらも嬉しそうに校舎を歩き回ってたよ」

そう言われて、少し悩む。でもこれを逃したら校舎に入る機会なんてないかもしれない。

「じゃあ、はい。お願いします」

昇降口で靴を脱いで、出してもらったスリッパを履いた。内装は私が通っていた頃となにひとつ変わっていなかったけれど、私は嬉しいというより懐かしさのほうが強かった。

正直、旭が引っ越してしまってから私は自分でもわかるほど元気を失った。

彼との思い出が詰まったスマホも壊れた挙げ句に、向こうから住所すら知らせる連絡が届かない。

どうして、なんで、って考えるのも疲れて、とにかく中学を早く卒業したかった。

そうすれば、旭との思い出もここに置いていける気がしてたんだ。