学校終わりの放課後。私は自宅へと足を進ませていた。

今日は未央の預かり保育の日だけど、お母さんから迎えは頼まれていない。

ずっと迎えなんて面倒だと思っていたし、なんでお姉ちゃんだからって色んなことを任せられなきゃいけないのって不満だった。

でも、その役割がなくなって、ますます自分のいる意味がわからなくなってしまったのはなぜだろうか。

と、その時。スマホに通知が届く。確認すると友達が海に行った時の写真をアップしていた。

おそらくだけど、早坂さんが見つけたと言っていたカラオケの写真を上げたのは彼女だと思う。

私はあの時、写真が表示されている画面を向けられて恥ずかしかった。だって、そこに写っていた私は明らかに浮いていて、張り付けたような笑顔も全然作れていなかった。

だから、ああいう顔して、私は友達といるんだなって思ったら、申し訳なくて消えたくなった。

私はなにがしたいんだろう。どうなっていきたいんだろう。自分のことなのに、私が一番、私のことがわからない。

まっすぐ家に帰りたくなくて、わざと遠回りをしていると、西中の前を通りかかった。

懐かしい校舎。下校していく中学生たち。あのセーラー服を着ていた自分がなんだか遠い日のように思えてくる。

「……市川?」

と、そこへ正門に立っていた教師に声をかけられた。それは二年一組の時の担任だった。