仕事終わりで疲れている由貴ちゃんに私のためにおかゆを作らせるのは申し訳ないと思いつつも、熱のせいでうまく働かない頭と、ふらふらする身体は限界で、私は言われた通りソファに横になり目をつむった。

 しばらくするとおいしそうな香りが鼻をかすめ、出来立てのおかゆの入ったお皿とレンゲを持った由貴ちゃんがソファへと近づいてきた。

「めぐ、起きれる?」

 私の背中をそっと支えて、起き上がるのを手伝ってくれる由貴ちゃん。

「少しでいいから食べて」

「うん」

 レンゲを手に取ると、まだ湯気がのぼるおかゆをすくう。ふぅふぅと息を吹きかけて、充分に冷ましてから口に入れた。

「……美味しい。由貴ちゃん、このおかゆすごく美味しい」

 作った人の性格を現わしているように、由貴ちゃんお手製の卵おかゆはほっこりと優しい味がする。

 あまり食欲はなかったけれど、これなら食べられそう。

 ぱくぱくと食べ続けている私を由貴ちゃんが微笑みながら見つめていたようで、その視線に気が付いたときにはおかゆは空っぽになっていた。

 それから薬を飲むと、再びしっかりとマスクを装着する。そして由貴ちゃんに支えられながら二階へと上がり、部屋のベッドへ横になった。