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『めぐちゃんと蓮見君ってやっぱり付き合ってるの?』
高校生のとき。由貴ちゃんと一緒に下校していたら、クラスメートの女子に声を掛けられたことがあった。
『付き合ってるわけないよ。私と由貴ちゃんはただの幼馴染だから。ね、由貴ちゃん』
――思い出した。
あのとき、ちらっと見た由貴ちゃんの顔が寂しそうに笑っていた。
『うん。俺とめぐは幼馴染だよ』
由貴ちゃんはどんな気持ちだったのだろう。
きっと私は由貴ちゃんをひどく傷つけていたのかもしれない。
何度も、何度も……。
『由貴ちゃん聞いて聞いて!先輩に告白したらオーケーもらえた』
『由貴ちゃん……。先輩に振られちゃった。ショックでご飯も喉を通らない』
『由貴ちゃん。そういえば私、新しい彼氏できた。それほど好きでもない人なんだけど、大学の友達がみんな彼氏持ちで羨ましいから、私もその人と付き合うことにしたんだ』
『由貴ちゃーん。彼氏に振られた。慰めて~』
『由貴ちゃん。新しい彼氏がめっちゃ束縛してくるんだけど!こわい』
『由貴ちゃーん、助けて。別れた彼氏がストーカーになりそう』
『由貴ちゃん。職場の同期の彼氏に二股かけられてた』
ごめんね、由貴ちゃん。
由貴ちゃんはずっと私を想ってくれていたのに気が付かなくて。
それでも好きでいてくれてありがとう。
もう遅いのかもしれないけど、私もようやく自分の気持ちに気が付いたよ。