気が付くと私は雨に濡れることも構わずに走り出した。そのまま交差点を曲がったふたりを追いかける。
ぴったりと寄り添って同じ傘に入るふたり。時より何かを話すように顔を近づけて微笑んでいる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「由貴ちゃんっ……!」
女性が寄り添っている反対の由貴ちゃんの腕を勢いよく掴んだ。
「めぐ⁉」
私に気がついた由貴ちゃんが、きょとんとした表情で私を見下ろしている。一緒にいる女性も、突然現れた私のことを不思議そうに見ている。一瞬だけ目が合った彼女は二重でくりっとした目が印象的な見るからに可愛らしい女性だった。
「どうしたの?」
由貴ちゃんに冷静に問われて、ふと我に返った。
私、何してるんだろう。
「あっ、えっと……。何でもない。ごめんね」
掴んでいた由貴ちゃんの腕をそっと離す。それじゃあ、と静かに告げてこの場から離れようとした。けれど、手首を由貴ちゃんに掴まれる。
「待って、めぐ。傘は?」
私は静かに首を横に降った。
「持ってないの? このまま帰ったら濡れちゃう」
「大丈夫。平気」
「平気じゃない。風邪、引くよ」
私の腕を掴む由貴ちゃんの手に力がこもる。
ぴったりと寄り添って同じ傘に入るふたり。時より何かを話すように顔を近づけて微笑んでいる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「由貴ちゃんっ……!」
女性が寄り添っている反対の由貴ちゃんの腕を勢いよく掴んだ。
「めぐ⁉」
私に気がついた由貴ちゃんが、きょとんとした表情で私を見下ろしている。一緒にいる女性も、突然現れた私のことを不思議そうに見ている。一瞬だけ目が合った彼女は二重でくりっとした目が印象的な見るからに可愛らしい女性だった。
「どうしたの?」
由貴ちゃんに冷静に問われて、ふと我に返った。
私、何してるんだろう。
「あっ、えっと……。何でもない。ごめんね」
掴んでいた由貴ちゃんの腕をそっと離す。それじゃあ、と静かに告げてこの場から離れようとした。けれど、手首を由貴ちゃんに掴まれる。
「待って、めぐ。傘は?」
私は静かに首を横に降った。
「持ってないの? このまま帰ったら濡れちゃう」
「大丈夫。平気」
「平気じゃない。風邪、引くよ」
私の腕を掴む由貴ちゃんの手に力がこもる。