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 翌日、眠い目をこすりながら出勤するとロッカールームでゆかりに会った。

「うわっ。何そのひどい顔」

 私の顔を見るなりゆかりは驚いたように目を見開く。

「目真っ赤じゃん。どうしたの?」

 私はブラウスの上から羽織るベストのボタンを留めながらボソッと答える。

「一晩中、涙が止まらなくて眠れなかった」

「それってもしかしてまた森谷関係?」

「ううん」

 私は力なく首を横に振る。

「由貴ちゃん関係」

「由貴ちゃん⁉」

 隣で私服のワンピースを脱いでいるゆかりが驚いたような声を上げる。

「まさかあの由貴ちゃんがめぐを泣かせるようなことしたの?」

「ううん」

 私はまた力なく首を横に振る。

「由貴ちゃんが悪いんじゃないの。私が悪いの」

 そう答えてから、私は昨夜の出来事をゆかりに打ち明ける。
 
 森谷君が私に会いに実家まで来たこと。そこに由貴ちゃんがいてまた私を庇って助けてくれたこと。そしてその流れで由貴ちゃんから告白されて、動揺したこと。

「――それで、どうしていいかわからなくなって逃げ出したってわけ」

「そう」

 私は首を小さく縦に振った。

「由貴ちゃんは幼馴染だから。今さら好きとか付き合うとか彼氏とか、そういう考えられなくて、どう答えたらいいのか分からなくなって……」