「突然、俺の気持ち知ったから驚いたよね。でも、さっきの言葉に嘘はないから。俺は、この幼馴染って関係から抜け出したい」

　恥ずかしくて逸らしていた視線をそっと由貴ちゃんへと戻すと、いつにない真剣な眼差しが私を見つめていた。

「俺は、めぐみが好きだよ」

　さっきは由貴ちゃんの背中で聞いたセリフを今度は真正面からはっきりと伝えられる。

　瞬間、トクンと心臓が跳ねた。

　私の肩に乗っていた由貴ちゃんの手が私の背中へと回される。そして、先ほどとは違い、ふわっと優しく抱き寄せられた。

「幼馴染じゃなくて、俺はめぐの彼氏になりたい」

　ドクンドクンドクン。
　心臓の鼓動が早くなる。

　ずっと幼馴染だと思っていた由貴ちゃんに突然、想いを打ち明けられた私は、動揺で頭がうまく働かない。

　少しだけ震える手で、私をそっと抱きしめる由貴ちゃんの胸を押し返した。そのまま走ってその場から逃げ出す。

「めぐ」

　背中から由貴ちゃんの声が聞こえたけれど振り向かず、私は実家へと逃げ込んだ。