そして、私の目の前に立つと覆い被さるように私をきつく抱き締めた。

「えっ、ちょっと由貴ちゃん?」

 驚いて声をあげると私を抱き締める由貴ちゃんの腕にさらに力がこめられる。

「あのとき、そういう意味でいつまでも幼馴染じゃないって言ったつもりだったんだ。いつまでも幼馴染じゃなくて俺はめぐの彼氏になりたいって意味で」

 ああ、そういう意味だったんだ。やっとそれが理解できた。できたんだけど……。

「ゆ、由貴ちゃん。苦しいっ……」

 長身の由貴ちゃんに力一杯抱き締められるとさすがに苦しい。いくら私が一般女性の平均よりも身長があるとはいえやっぱり対格差はかなりあるのでこのままだと潰されそうだ。

 由貴ちゃんの大きな背中をパシパシと叩くと、ようやく由貴ちゃんの身体が離れていく。

「ごめん、めぐ。大丈夫?」

「う、うん。なんとか」

 私の肩には由貴ちゃんの手がそっと乗せられている。互いの顔の距離もすごく近い。

 どうしよう。見慣れているはずの由貴ちゃんの顔が、今は直視できない。