でも、今さらそんなことを言われても信じることができないし、私はもう森谷君のことを好きじゃない。

「あのさ、幼馴染みだかなんだか知らないけど由貴ちゃんには関係ないだろ。めぐみとふたりきりで話をさせろよ」

 とうとうこの状況の我慢が限界にきたのか、森谷君の口調がさらにきつくなる。そして一歩前に詰め寄る音がしたので、こわくて私は反射的に瞳を閉じてしまう。

「あんたみたいなやつに俺のめぐを渡すわけがないだろ」

 由貴ちゃんの冷静か声が響いて、私はハッと顔をあげる。すると森谷君のからかうような声が聞こえた。

「俺のめぐって……あれ? もしかして由貴ちゃん。めぐみのこと好きなの?」

 えっ⁉ ちょっと森谷君なに言うの?

 由貴ちゃんが私を好き? 違うから。由貴ちゃんは幼馴染みとして私のことを心配してくれているだけ。そうだよね、由貴ちゃん? 何か答えてよ……!

 けれど由貴ちゃんは口を閉ざしたまま。森谷君の言葉に肯定も否定もしようとしない。するとそれを肯定と捉えたらしい森谷君が皮肉たっぷりに口を開く。

「もしそうならかわいそうだな。いつからめぐみのこと好きだったのか知らないけど、俺にめぐみを取られたとき悲しかっただろ」

 そう言って、森谷君はおかしそうに声をあげて笑い出した。