煽られてますます由貴ちゃんの怒りがヒートアップするかと思いきや、由貴ちゃんは一度深く息を吐き出した。

「めぐから聞いた。あんたに二股されてたって。あんたには本命の彼女がいるのに、どうしてめぐとも付き合ったりしたんだよ」

 相変わらず口調は鋭いままだけどさっきよりもだいぶ落ち着きを取り戻している。

「あんたの本命の彼女にめぐは頬をたたかれた。めぐはなにも知らなかったのに。めぐも犠牲者だ。悪いのは全部あんただろ。とりあえずこの場でめぐに謝ってほしい」

「謝るよ、これから。だからめぐみとふたりきりで話をさせろって言ってんの。それに俺、めぐみに復縁申し込みに来たんだよ。めぐみの方が本命だって」

 え……どういうこと?

 森谷君の発言に私は一気に頭の中がパニックになる。

 私の方が本命? でも、じゃあ私をぶったあの彼女は? 彼女は私が浮気相手で自分が本命だと言っていた。

 彼女に頬をたたかれて森谷君のアパートを飛び出したときも、森谷君が追いかけてきてくれなかったから、やっぱり私が浮気相手で彼女が本命だと思ったのに。私たちの関係はもう終わったと思っていたのに。それなのにどういうことだろう。私が本命だったの?