もしも拒絶されたら？

　彼女はきっと俺から離れてしまう。

　こんな風にもう頼ってはもらえない。

　それがこわくてずっと自分の気持ちを伝えられずにいた。

　でも、俺は幼馴染が好きだ。大好きだ。

　できればこの幼馴染という関係から抜け出したい……。


「お待たせ」

　出来上がったココアを持って、幼馴染のもとへと向かう。そして、二人分のマグカップをテーブルに置くと、俺は床に腰を下ろした。

　仰向けに寝転がっていた身体を起こした幼馴染は、マグカップへと手を伸ばす。ふぅふぅと息を吹きかけて冷ましてから、一口を喉に流し込んだ。それから静かに口を開き、ゆっくりと話を始める。

「ねぇ、由貴ちゃん――」

　その横顔を、俺は見つめる。

　ずっと考えていた。

　どうしたら幼馴染の関係から抜け出すことができるのかって。

　でも、そんなの答えはひとつしかない。

　君が好きだと伝えるだけなのに、それを伝えられないまま、俺は今日まで彼女と幼馴染の関係を続けてきた。