もう十年近く続く習慣なので完全に止め時が分からなくなっている。由貴ちゃんも今年はもういらないよとは言わないのでなんとなく私も編み続けてしまっているけれど、毎年毎年新作が届いて由貴ちゃんはそれを全部どうしているのだろう。律儀な由貴ちゃんのことだから全部取ってあるのかな。

 今年はどんな色のどんなデザインで編もう。寒い冬は苦手だけど、私の編んだマフラーや手袋を嬉しそうに身に付けてくれる由貴ちゃんを見るのは好きだ。

「ねぇ、由貴ちゃん。私、本当はもう今年は由貴ちゃんにマフラー編めないと思ってたんだ」

 真っ暗な夜の空を見上げながら呟いた。今日はいつもよりも星がよく見える気がする。

「由貴ちゃん、この前言ってたでしょ。いつまでも私と幼馴染みじゃないって」

 ずっと心の片隅で気になっていた。由貴ちゃんに言われたその言葉の意味を。出張から戻ってきた由貴ちゃんに距離を置かれていたらどうしようかとずっと不安だった。