けれど、そのせいで接客に忙しくてお昼の時間がだいぶ遅くなってしまった。それはゆかりも同じだったようで、社食で見つけた彼女はだいぶやつれているように見えた。まだまだ午後の接客が残っているけれど、とりあえず今は静かな社食でお腹を満たす。

「でも、元彼が同じ職場、しかも同期ってかなり気まずいよね」

 うどんをすすりながらゆかりが呟いた言葉に、私は同意するように頷く。

「やっぱりそうだよね。私もそこだけが心配」

 そういえば去年寿退社した同じ売り場担当の先輩が言っていた。社内恋愛はこじれて別れたらめんどうだって。今なら先輩のその言葉が理解できる。迂闊だった。もっと深く考えてから告白の返事をすればよかった。なんて、あとになって思ってももう遅い。

 幸いなことに森谷君は営業担当なので普段は外回りをしていることが多いから、販売担当の私とはめったに顔を合わせない。それでも、同じ職場内にいることに変わりはないわけで。

 今いる社食や社員通用口とかで偶然に鉢合わせすることがあるかもしれない。そのときに気まずい思いをするよりも、やっぱり一度しっかりと会って話をした方がいいのかな。でも、会いたくない。