もしかして、すぐに由貴ちゃんに頼ってしまう私に嫌気がさしたのかな。由貴ちゃんはいつも私に優しいから、すっかりそれに甘えていた。

 出張から戻ってきた由貴ちゃんに距離を置かれていたらどうしよう……。

 そこまで考えたところで、お腹からぐぅっと情けない音が聞こえた。

「お腹すいたなぁ」

 時計に視線を移せば午後二時を指している。そういえば、お昼をまだ食べていなかった。キッチンへ向かおうとしたものの、なんとなく気分が乗らない。

 一階の洋室では今、母が講師をしている裁縫教室が開かれている。生徒はほぼ母と同年代の話好きのマダムたちなので、きっと今頃わいわいとにぎやかに講習をしているのだろう。

 見つかったら話し掛けられて教室へ引っ張り込まれてしまうので、それが嫌で今日は二階の自室に引きこもっている。来週開かれるマルシェに出品する商品をもっと作っておこうと思っていたので、部屋で一人でチクチクと裁縫だ。