「大丈夫だよ。安心して。私はしばらく彼氏は作らない。もう本当に自分の男運のなさにはこりごりしてるから。一生独身でもいい覚悟もしているくらいだし」

 とはさすがに言い過ぎだけど。でも、付き合う男が次々とダメなやつばかりなので、もし次に付き合う人も同じようなダメ男だったらどうしようという不安からついそんな考えになってしまう。

 それならもういっそ一生独り身でもいいのかもしれない。

「それに、私にはとってもかっこよくて頼りになるスーパーヒーローみたいな幼馴染がいるからね」

 うん。私には由貴ちゃんがいる。だから、彼氏なんていなくても大丈夫。

 けれど、目の前の幼馴染はなぜか浮かない表情を浮かべている。

「……そっか。それは、嬉しいような悲しいような複雑だな」

 ボソボソと呟いて、由貴ちゃんはいつになく真剣な表情で私を見つめる。

「でも俺は、このままめぐの幼馴染でいるつもりないから」

「え?」

「じゃあね、めぐ」

 由貴ちゃんは私の頭に手を乗せると、ぽんぽんと優しく撫でてから背を向ける。そのまま私を振り返ることなく六番ホームへと続く階段を長い足で駆け上っていった。