「うん! おいひぃ~。けど、あっつ」

 出来立てなので熱々だ。思わず大きな口で頬張ってしまい、その熱さに涙を浮かべる私を見た由貴ちゃんは、しっかりとふぅふぅと冷ましてから口に入れた。

「おいひぃな」

 あんなにしっかりと冷ましてから口に入れたのに、それでもまだやっぱり熱かったらしい。ハフハフしながら食べている由貴ちゃんは、そういえば猫舌だった。

「ああ~! ビールに合う。もう一杯くださーい」

 空になったグラスを掲げて注文すると、すぐにたっぷりとビールが注がれたグラスがやってくる。

「うーん、うまい!」

「めぐ、ペースが早い」

「はい、すみません」

 またも由貴ちゃんにぴしゃりと注意をされてしまい、私は静かにグラスを置いた。



「あ~! おいしかったね。お腹ぽんぽん」

「めぐ。街中で女の子がそんなことしないの」

 ワンピースの上からでもわかるほどぽっこりとしたお腹を太鼓のように両手で叩くと、隣を歩く由貴ちゃんに軽く怒られてしまった。

 時刻は夜の十時を過ぎた頃。けれど、都会の街中はまだ煌々と明かりが灯り人通りも多い。

 最寄駅まで歩きながら隣の由貴ちゃんに声を掛ける。

「明後日は何時発の飛行機?」