私と由貴ちゃんの家はお隣で親同士も仲がいい。だから由貴ちゃんとは物心つく前から一緒にいるから家族も同然の関係で、男とか女とか私はあまり気にしていない。それはたぶん由貴ちゃんも同じだと思う。

「俺、めぐがうちに泊まるのはダメとは言わないよ。でも、けっこういつも我慢してるんだよね」

「え、そうなの？　ごめんね。じゃあ、今日は由貴ちゃんがベッドで寝て。私はソファでいいから」

「いや、そういう我慢じゃなくて……って、ううん。もういいや」

　さてと、と由貴ちゃんが立ち上がる。

「めぐはいつもみたいに俺のベッドで寝ていいから。俺がソファで寝る」

「うん。いつもありがとう」

「シャワーも浴びるでしょ。タオル用意するよ。着替えはいつも使っているチェストにしまってある。朝食も食べるよね。作るから一緒に食べよう」

「はい。本当にいつもお世話になってしまい申し訳ありません」

　改まって口調の私がおもしろかったのか、由貴ちゃんがクスクスと笑い出す。その笑顔は今日もかっこいい。さすが私の自慢の幼馴染だ。

　本当に、由貴ちゃんはいつも私に優しくてしくれる。だから私はその優しさに子供の頃から甘えてばかりいる。

　もういい歳した大人なんだから『困ったときは由貴ちゃん』という考えを改めないといけないのかもしれない。

　いつもそう思うのに、私は由貴ちゃんから離れられない。