「それにしてもひどい目にあったな。それかなり痛そうだけど」

　ココアを一口飲み終えた由貴ちゃんの視線が私の右頬に注がれる。

「冷やす？」

「大丈夫。明日になればなおる……たぶん」

「痣にならなければいいけど」

「相変わらず由貴ちゃんは大げさだなー」

　赤く腫れた私の頬に由貴ちゃんの細くて長い指がそっと触れる。どれどれ？と確認するように近付いてくる由貴ちゃんの顔を、私はこっそりと凝視する。

　由貴ちゃんって私よりも絶対に睫毛長いよなぁ。

　くっきりとした目鼻立ちに形の良い唇。小顔だし、肌も女性のようにきめ細やかだし。ふんわりとパーマのかかった栗色の髪は手入れなんてしていないはずなのに滑らかでつやつやとしている。おまけに、身長も百八十九センチの長身で、手足がすらりと長い。

　由貴ちゃんの容姿は百点満点だと私は思っている。

　子供の頃から近所でも有名な美男子だった。学生の頃は女子生徒の間でファンクラブまであったし、高校一年から大学二年までは男性ファッション誌でモデルもしていたほどだ。

　大人になった今でも由貴ちゃんの整った顔立ちは変わらない。むしろ歳を重ねたことで色気がプラスされて、子供の頃以上に由貴ちゃんはモテる。

　比べて私はとても平凡だ。百六十センチの身長は女性の平均よりは高いものの、特別にスタイルがいいというわけでもない。顔だってこれといって特徴がないし、鎖骨下までの長さの髪はパーマがとれかけていてぼさぼさだし。

　由貴ちゃんと自分を比べると泣きたくなる。