個室に案内されると、先方はすでに座って待っていた。
祖母同士が共に挨拶をし、自分たちの番が来る。
こういう場合、どちらから先に挨拶すべきなのかと考えていたが、相手側が一向に口を開かないので、居たたまれなくなって杏奈が口を開く。
「えっと…。三浦杏奈と申します。本日はよろしくお願い致します。」
ペコリと頭を下げつつ彼を盗み見ると、相手側の祖母が彼を叩いているのが見えた。
「しっかりせんかい。」
小突かれて、彼は頭を掻きながら柔らかい笑みを落とした。
「すみません。横山広人と申します。どうぞよろしくお願い致します。」
丁寧な挨拶の後、お互い目が合う。
と、ふいと視線を外されて杏奈はムッとした。
(何だこの態度は!)
じっと広人を見ると、ほのかに頬がピンクに染まっているような気がする。
(ん?もしかして照れてるの?)
そう思うと、何だか自分まで影響されて気恥ずかしくなってきて、杏奈はごまかすためにコホンと咳払いをした。
「えっと、広人さんとお呼びしても?」
「ええ、もちろんです。僕も杏奈さんとお呼びしてもいいでしょうか?」
お見合い前に祖母から写真と簡単なプロフィールを見せてもらっていた。
横山広人35歳。杏奈より7歳歳上だ。
目が悪いのか、分厚いレンズの黒淵メガネをかけていて、一歩間違えると牛乳瓶の底のようなメガネだ。
(…ダサいわね。)
けれどそれを除けば、シワのない上品なスーツを綺麗に着こなし、柔らかい物腰は好印象だ。
祖母同士が共に挨拶をし、自分たちの番が来る。
こういう場合、どちらから先に挨拶すべきなのかと考えていたが、相手側が一向に口を開かないので、居たたまれなくなって杏奈が口を開く。
「えっと…。三浦杏奈と申します。本日はよろしくお願い致します。」
ペコリと頭を下げつつ彼を盗み見ると、相手側の祖母が彼を叩いているのが見えた。
「しっかりせんかい。」
小突かれて、彼は頭を掻きながら柔らかい笑みを落とした。
「すみません。横山広人と申します。どうぞよろしくお願い致します。」
丁寧な挨拶の後、お互い目が合う。
と、ふいと視線を外されて杏奈はムッとした。
(何だこの態度は!)
じっと広人を見ると、ほのかに頬がピンクに染まっているような気がする。
(ん?もしかして照れてるの?)
そう思うと、何だか自分まで影響されて気恥ずかしくなってきて、杏奈はごまかすためにコホンと咳払いをした。
「えっと、広人さんとお呼びしても?」
「ええ、もちろんです。僕も杏奈さんとお呼びしてもいいでしょうか?」
お見合い前に祖母から写真と簡単なプロフィールを見せてもらっていた。
横山広人35歳。杏奈より7歳歳上だ。
目が悪いのか、分厚いレンズの黒淵メガネをかけていて、一歩間違えると牛乳瓶の底のようなメガネだ。
(…ダサいわね。)
けれどそれを除けば、シワのない上品なスーツを綺麗に着こなし、柔らかい物腰は好印象だ。