僕は愛というものを知らなかった。テレビに映っているアイドルに可愛いという印象を寄せたこともなかったし、女子と仲良く話していたとしてもそこから恋愛感情に発達することは無かった。もちろん誰とも付き合うこともなかった。告られたことはあったがどうしたらいいのか分からず振ってしまった。そんな調子で高校生まで生きてきたわけなのだけど、僕は初めて恋をした。
一般的に言えばこれは片思いと呼ばれるものなのだろうか。
『毎日話すし顔合わせただけでうれしい気持ちになる。明日は何かはなせるかな。もしそうなら嬉しいな。』
こんな言葉が毎日ずっと聞こえるのは何が何でも恥ずかしい。私は昔から人が心の中で思っていることが聞こえることがあった。今まで聞こえたことでよかったと思えることなんて無かった。大抵聞こえるのは誰にも言えない悪口ばかり。
しかし高校に上がって数週間を過ごしたときふと『かわいいな』という声が聞こえた。最初は空耳だと思っていた。しかし次第に言葉は恥ずかしくなってしまうようなものが増えた。
高校に上がって最初の席替え。今まで出席番号順の並びだったけれどそれはテストまでおあずけ。席はくじで決めるそうだ。番号順に引いていき、徐々に席は埋まっていく。私は最後の番号なので正直浮かれてはいなかった。私が引かなくても決まってしまうのだから。
私の番が回ってくる途中、それはそれはいろんな声が聞こえた。
『誰々ちゃんと近くになりますように』とか。
『うわ、あのブスと隣かよ、死んだ~』とか。
そんななかでもひと際大きく聞こえる言葉に私は耳を塞ぎたかった。でもこの声は耳を塞いでも聞こえることに変わりはない。だから私は赤くなっている気がする顔を隠すために少し顔を俯けていた。
『隣になりたいな。まだ隣同士で開いてる席あるかな。いや、でも隣になっても話せるのかな。英語の時だけ話すとかもっと気まずくなって死にそう。』
そして席は埋まっていく。
『引いた席の隣は…、片方は埋まってるか…。もう片方は埋まりませんように。』
残りの席はほんのわずかとなる。
『え?これほんとに隣になれちゃうのかな。う、嬉しいけど。で、でもなぁ。』
だが最後の一人私の前の生徒でその席は決まってしまった。
『良かったんだよね。多分これで、僕はやっぱり【私】さんと隣になるような人じゃないんだろうな。』
『い、いやでも。でもなぁ。』
そうしてその時間は終わった。
私は前の生徒に話しかけた。そして先生にも許諾をとって席を変えてもらえることにした。
次の授業の始業のチャイムが鳴り、隣に座る。
『…。え?なんで隣にいるの?あ、もしかして変わったのかな。あの人目悪そうだったし。』
そして、うれしい、と小さく笑った。
それが心の声だったのか、声に出したことだったのか。それは分からなかった。それ以上に考えようとも思わなくなる程、ただ私も凄く嬉しくなった。
一般的に言えばこれは片思いと呼ばれるものなのだろうか。
『毎日話すし顔合わせただけでうれしい気持ちになる。明日は何かはなせるかな。もしそうなら嬉しいな。』
こんな言葉が毎日ずっと聞こえるのは何が何でも恥ずかしい。私は昔から人が心の中で思っていることが聞こえることがあった。今まで聞こえたことでよかったと思えることなんて無かった。大抵聞こえるのは誰にも言えない悪口ばかり。
しかし高校に上がって数週間を過ごしたときふと『かわいいな』という声が聞こえた。最初は空耳だと思っていた。しかし次第に言葉は恥ずかしくなってしまうようなものが増えた。
高校に上がって最初の席替え。今まで出席番号順の並びだったけれどそれはテストまでおあずけ。席はくじで決めるそうだ。番号順に引いていき、徐々に席は埋まっていく。私は最後の番号なので正直浮かれてはいなかった。私が引かなくても決まってしまうのだから。
私の番が回ってくる途中、それはそれはいろんな声が聞こえた。
『誰々ちゃんと近くになりますように』とか。
『うわ、あのブスと隣かよ、死んだ~』とか。
そんななかでもひと際大きく聞こえる言葉に私は耳を塞ぎたかった。でもこの声は耳を塞いでも聞こえることに変わりはない。だから私は赤くなっている気がする顔を隠すために少し顔を俯けていた。
『隣になりたいな。まだ隣同士で開いてる席あるかな。いや、でも隣になっても話せるのかな。英語の時だけ話すとかもっと気まずくなって死にそう。』
そして席は埋まっていく。
『引いた席の隣は…、片方は埋まってるか…。もう片方は埋まりませんように。』
残りの席はほんのわずかとなる。
『え?これほんとに隣になれちゃうのかな。う、嬉しいけど。で、でもなぁ。』
だが最後の一人私の前の生徒でその席は決まってしまった。
『良かったんだよね。多分これで、僕はやっぱり【私】さんと隣になるような人じゃないんだろうな。』
『い、いやでも。でもなぁ。』
そうしてその時間は終わった。
私は前の生徒に話しかけた。そして先生にも許諾をとって席を変えてもらえることにした。
次の授業の始業のチャイムが鳴り、隣に座る。
『…。え?なんで隣にいるの?あ、もしかして変わったのかな。あの人目悪そうだったし。』
そして、うれしい、と小さく笑った。
それが心の声だったのか、声に出したことだったのか。それは分からなかった。それ以上に考えようとも思わなくなる程、ただ私も凄く嬉しくなった。