お盆が終わり、マオ君の夏休みもそろそろ残り少なくなってきた、八月の終わりのある日。

 私たち三人は、島をのんびり散策することにした。

 私たちはゆっくりと海岸沿いを歩く。

 壮観だった海の送り火は今はすっかり片付けられ、海沿いのブロックの上には今日もたくさんの猫がいる。
猫たちは寝そべったり、歩いたり、ぴょんとジャンプしたり、思い思いに過ごしていた。

「海、今日も綺麗です!」

「本当だね」

 夏の間に、何度かこの海で泳いだ。海はどこまでも青く、空に浮かぶ白い雲が輝いているようだった。

「もうすぐ夏も終わりだね」

 私は廉冶さんに問いかけた。

「お盆を過ぎると、海に入ってはいけないって言うよね? あれってどうしてだろう」

「あー、波が高い日が多いからじゃないか? あとクラゲに刺されるってのもあるかもな」

 それを聞いたマオ君は、キラキラと瞳を輝かせた。

「僕、本土の水族館で、一度クラゲがたくさん泳いでいるのを見たことがあります! クラゲ、かわいいから好きです」

 私はその言葉に同意した。

「確かに、丸い水槽でふよふよ泳ぐクラゲはかわいいよね。今度一緒に水族館に行こうか」

 そう言うと、マオ君は嬉しそうにはしゃいでぴょんぴょんとその場で跳ねる。
 私は元気な様子のマオ君を見て、安心した。

 シロさんのことでしばらく落ち込むのではないかと心配していたマオ君は、送り火で彼らの魂を見送ったことで気持ちが落ち着いたのか、笑顔をたくさん見せてくれるようになった。


 海岸沿いを散歩した後、私たちは一度家に戻り、三人でソーダ味のアイスを食べた。

 廉冶さんは暑さが苦手なのか、むっとした表情で太陽を睨みつけている。

「しかし、もうすぐ九月なのに毎日暑いよな。そろそろ涼しくなってもいいのに。年々暑くなってる気がするんだよな」

「確かに……」

「でも僕、夏好きですよ! 今年は悠人君と遊んだり、海に行ったり、とっても楽しかったです!」

「秋になっても、色んなところにお出かけしようね」

 そう言うと、マオ君は嬉しそうに微笑んだ。
 こうやってアイスを食べていると、小学生の頃の夏休み、この島のおじいちゃんの家で遊んでいたことを思い出す。


「廉冶さん、マオ君、一緒に行ってほしい場所があるんだ」

 そう話すと、二人は不思議そうに私のことを見た。