一緒に料理をすることで、マオ君と悠人君もすっかり打ち解けたようだ。
悠人君はチョコレートソースで、自分のクレープにレッドの顔を書いて喜んでいる。

「僕も書きます」

 マオ君がソースを使おうとすると、悠人君が言った。

「なぁ、マオのクレープ、俺が書いてもいいか!?」

 マオ君は「はい」と返事をする。


 何を書くのだろうと見守っていると、悠人君はマオ君ののクレープに、「ありがとう」という文字を書いた。

 マオ君は照れくさそうに微笑み、二人で仲良くクレープを食べる。

 喜代さんは私に小さな声で言った。

「よかった、二人とも仲直りしたみたいね」
「よかったです」

 その後も、二人は仲良く遊んでいた。
 そろそろ帰ると言った時でさえ、まだ遊びたいとすねたくらいだ。
 また遊ぶ約束をして、私とマオ君は家に戻った。

 喜代さんが廉冶さんへのお土産にどうぞとクレープを包んでくれたので、私はそれを廉冶に渡した。
 マオ君はぴょんぴょんしながら廉冶さんにしがみつく。

「お父さん、それ、僕が作りました!」
「お、そうなのか」

 クレープをかじった廉冶さんは、大げさに叫んだ。

「うわあああ、うますぎる! 世界一うまいな!」

 その様子を見たマオ君は、ケラケラと声をたてて笑った。
 マオ君は廉冶さんに抱きつきながら話す。

「悠人君と仲直りできました! 夏休み、毎日遊ぼうって言われました!」

「お、よかったな」

 もうすぐ七月も終わりだ。

「確かにすぐに夏休みだね。幼稚園に行くのも、あと十日くらいかな」

 廉冶さんは私に向かって微笑んだ。

「夏休みに入ったら、三人で出かけよう」
「うん!」

 私は三人で過ごす初めての夏休みが、今からとても楽しみだと思った。