「綺麗な海だね」

 家から出て坂道を降りると、朝陽が海に反射し、キラキラ水面が輝いているのが見えた。
 さっきも思ったけど、海の近い場所に住むのって、なんだかいいな。

 昼になって時間があったら、海まで降りてみよう。
 マオ君と手を繋いで歩く廉冶さんも、眩しそうに太陽を見上げる。

「いいだろ? 海が近いのは、この島のいいところだ。あと、猫もたくさんいるし」

 そう言ってから、おかしそうに続けた。

「ただ、すげー不便だけどな」
「朝ご飯はコンビニに買いに行くの?」
「いや、コンビニなんてハイカラなものはこの島にはねーぞ」
「へ!? コンビニがないの!?」
「あぁ、本島まで行けばあるけど、フェリーで三時間はかかるな」
「わぁ、最寄りのコンビニまで三時間かぁ……」


 私たちは近くのこじんまりしたスーパーへ到着し、何にしようかと悩む。
 マオ君は、キラキラした顔でメロンパンを両手に持っていた。

「お父さん、僕、メロンパンでもいいですか?」

 マオ君はメロンパンが大好きみたいだ。
 きちんとした朝ご飯……と思ったけれど、昼や夜に野菜を多めのおかずにすればいいかなと考え、黙って二人を見守る。 
 
「廉冶さん、昼ご飯と夜ご飯の買い物もした方がいいかな?」
 廉冶さんにそう問いかけると、彼は意味ありげににやっと微笑む。
「いや、その必要はないと思うぜ」

 どうしてだろう?