今でも彼のことを、何度も夢に見る。
「約束だからね。絶対に絶対に、迎えに行くから」
私はこれが夢であると分かりながら、それでも彼に向かって手を伸ばす。
「立派な――になったら、必ず弥生のことを迎えに行くから」
だんだん遠ざかっていく彼に向かって、何度も叫ぶ。
「待ってるから! 私、ずっと待ってるから!」
その声を遮るように、断続的なアラームの音が聞こえる。
私は寝ぼけ眼で目覚まし時計を止めながら、大きな溜め息を吐いた。
「結局迎えに来ないじゃない」
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