いつも、夢を見る。
 ざあざあと、雑音だけが鳴り響く、ひどく耳障りな夢を。

 夢とは言うものの、いつでも映像はない。
 ただただ、暗闇の中で音が延々と鳴り響くだけだ。

 たまに、地響きのような音も雑音を掻き消すように混じる。
 そして、誰かの金切り声も。

 その夢は、簡潔に言うならば、絶望に満ちた誰かの場面を音だけで表現したようなものだ。

 けれど。
 夢から覚めたら、不思議とすぐに忘れてしまう。
 あんなに嫌な夢なのに、半日の間すら覚えていられないのだ。

 何か、ひどく残酷で、胸の奥がすうっと冷えていくみたいな悪夢を見た気がすると、ただそれだけの居心地の悪い感情として残される。

 でも、気のせいだろうか。
 それはまるで、夢を見た記憶の全てを、何かに(・・・)奪われるかのように思えてしまうのは――。