* * *


「ねえ、柊……あのさ」

「ん? どうした?」


あれからも毎日、夕方になると柊に会いに行っていた。
言おうとする度に優しい声で笑いかけてくれるから……ずっとその笑顔が見ていたくて“会えない”なんて言えずにいた。


「……なんでもない、呼んでみただけ」


そう言って柊に微笑んでみると、「なんだよ」って言って私の髪をぐちゃぐちゃにした。こんなに優しくて、素敵な鬼なのに……小さい頃は私に怖がらせまいと鬼だってことも隠すような妖なのに。


「柊は、いつもかっこいいなって思っただけ」

「……俺はいつもかっこいいだろ」

「ナルシストなの?」

「は? なる……? なんだそれ」


知らないか……バカにしたら怒られるから意味は言わないどこう。