『お前のハート、撃ち抜いちゃうぜ』


 なんて馬鹿馬鹿しくも甘ったるい台詞を、素面のまま色気たっぷりに言える男と、私は何となく付き合っている。


『お前の瞳に映るのは俺だけで良い』


 そんな台詞で5万人の観客を耳から孕ませるくせに、私をベッドに誘うときは「やるぞ」しか言えないそんな男と、わたしは何となく付き合ってしまっている。


 何となく連絡先を交換し、何となく一夜を共にし、何となく付き合って、何となく同棲を始めた私たちの関係は、一体どこに続いているのだろう。


 そんなことを、私は最近考えている――。