その様子は見るに堪えないものだった。


すぐに出ていきたいという気持ちがあったが、どうにかそれを押し込める。


「いい加減あきらめろよ、チビ」


少年Aはそう言うと、制服の胸のポケットからタバコとライターを取り出し、慣れた手つきで火をつけた。


煙を胸いっぱいに吸い込み、少年Bの顔面めがけて吹きかける。


少年Bは煙を吸い込んでしまい、激しくせき込んだ。


「タバコも吸えないガキは俺の命令だけ聞いてりゃいいんだよ」


少年Aはそう言って高笑いをする。


「じゃあな!」


話しは終わったとばかりに少年Bに背を向けて歩き出そうとする。


その時、少年Bが少年Aの背中に抱きつくようにして止めたのだ。


「待てよ! カードを返せ!!」


「なんだよお前。しつけーな!!」


少年Aは身をよじって少年Bを振りほどこうとしている。


しかし、少年Bは必死にしがみついて離れない。